今、オリエンタルラジオの新ネタ『PERFECT HUMAN』が若者の間でバズを生んでいるという。(参照:『オリラジ新ネタはなぜバズったのか?ソーシャル時代のコンテンツ企画』)
芸人のネタとは思えないほどのハイクオリティーのダンス&ミュージックパフォーマンスであり、「あっちゃん」ことオリラジの中田さんを『神』として崇めたコンテンツ。
現在は、テレビのネタ番組などでも話題となり、Youtubeの動画再生回数や1700万回を突破し、iTunesでは1位を獲得しました。
では、なぜオリエンタルラジオの新ネタ『PERFECT HUMAN』は、爆発的な人気を生んだのか。
それは、既存のお笑いネタの考え方に「イノベーション」を起こし、今の社会的な構造への対応とニーズの汲み取り・対応に成功したからではないでしょうか。
そこで、今回はドラッカー著の『イノベーションと企業家精神』の内容を当てはめ、オリラジの新ネタ成功と、イノベーションに必要なポイントをまとめていきたいと思います。
イノベーションとは?
ドラッカーは、「事業の目的は、顧客の創造」であり、そのためには「マーケティング」と「イノベーション」が必要であると言っている。
それでは、そもそも『イノベーション』とは何なのか?
一般的には、イノベーションとは、技術革新など、新たな技術開発によって新しい価値が想像されることであると認識されていると思います。
しかし、ドラッカーの唱える『イノベーション』の定義は、技術革新だけではない。
イノベーションとは、「①製品のイノベーション」「②社会のイノベーション」「③管理のイノベーション」の3つのイノベーションが存在するという。
例えば、北極に暮らす人々に対して、冷蔵庫を販売するなどは、一般的に考えてギャップがある行為であると思います。
しかし、食料が凍らないようにするために冷蔵庫に保管する。そのために冷蔵庫が必要になる。
この場合、冷蔵庫自体にはイノベーションは起きていませんが、北極で暮らすためのルールを変えたという点では、イノベーションと呼べます。
新たな価値創造のためのイノベーションの7つの機会とは?
次に問題となるのが、「如何にしてイノベーションが起きるのか」というポイントであると思います。
ドラッカーは、イノベーションの起きる機会は、7つあると考えています。
- 予期せぬ成功と失敗を利用する
- ギャップを探す
- ニーズを見つける
- 産業構造の変化を知る
- 人口構造の変化に着目する
- 認識の変化を捉える
- 新しい知識を活用する
これらのポイントを踏まえ、オリエンタルラジオの新ネタが人気になった理由を考えていきたいと思います。
『リズム芸』が社会的に認知度が高くなった
「予期せぬ成功と失敗を利用する」というポイントにおいて、一般的な認知として『リズム芸』の浸透が成功した1つのポイントであると思います。
一般的な芸風といえば『漫才』が挙げられるでしょうが、ここ最近では歌やリズムに合わせた『リズム芸』となる芸風が確立され、人気になっています。
もちろん、オリエンタルラジオの最初のネタも「武勇伝」というリズム芸。
そして、8.6秒バズーカの「ラッスンゴレライ」の完コピで話題を呼んだ後の「PERFECT HUMAN」。
「ラッスンゴレライ」の完コピが反響した点を踏まえて、リズム芸のポテンシャルを感じ取ったのではないでしょうか。
「ボケ→ツッコミ」だけではない。芸人とは思えないハイパフォーマンスというギャップ
ギャップの分析という点で「芸風自体の側面」「芸人という枠組みからの側面」の2つから考えることができると思います。
まずは、「芸風自体の側面」
一般的に芸人がネタを披露して、笑いが起こるまでのプロセスは「ボケ→ツッコミ」という大きな軸があります。
しかし、オリラジの新ネタには、今までの笑いのプロセスを覆す、つまりギャップが生じている。
「笑いを起こすのは、ボケ→ツッコミだけなのか?」
「なぜ、ボケ→ツッコミという流れなのか?」といった、疑問を抱くことで、新しいカテゴリーを築いたといえるでしょう。
次に、「芸人という枠組みからの側面」です。
これも上記と類似しているが、「芸人は、ボケる」という一般的な認識がある中、『PERFECT HUMAN』という、キレのあるダンスと歌唱力を魅せる芸風は、ギャップを生み出しました。
インターネット、スマートフォンの普及拡大によって起こるニーズの変化への対応
インターネット・スマートフォンの普及拡大に伴い、僕たちのライフスタイルも変化しました。
そして、テレビ離れも引き起こし、動画を見るなら、Youtubeなどの動画プラットフォームだったり、NetflixやHuluなどのサブスクリプションサービスが主流となりつつあります。
そういった社会的な構造変化に伴い、Youtuberなどのコンテンツクリエイターが登場。
したがって、エンターテイメントを提供する供給側にも変化が起こり、競争相手が増えた(拡大した)、ユーザー側は、単純に「面白い」コンテンツを求めるようになっています。
オリエンタルラジオは、現在の社会構造に対応し、プロの視点からハイクオリティーのコンテンツを作成。
EDMの曲調に合わせたキレのあるダンスは、若者の間でも人気の三代目 J Soul Brothersをイメージさせます。
Youtubeでの再生回数を踏まえると、ミレニアム世代のニーズを汲み取って、新しい顧客の創出に成功したと言えるでしょう。
「人口構造の変化に着目する」という点に関しては、日本の総人口数は減少しているが、「リズム芸」という強みを活かすことで、世界規模な動画市場へのアプローチを可能したと言えるでしょう。
まとめ
オリエンタルラジオの新ネタから以下のポイントを学びました。
- 市場(顧客)を作る重要性
- ニーズと社会構造の変化に敏感になること
- ニーズに気づき、すぐに行動する重要性
新しい事業を創出し、成功を収めるためには、『今』の外部環境に対応しなければなりません。
そのために、僕たちを取り巻く環境がどう変わっているのか。それによって、何が起きるのかということを日々、考えることは重要。
そういった視点を持つことで、日々のニュースを読む視点も変わりますね。
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