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なぜ、人民元の為替レートは引き上げられたのか?

time 2015/11/03

なぜ、人民元の為替レートは引き上げられたのか?

人民元の取引の目安となる値が、対ドルで大幅に引き上げられました。(参照:『中国・人民元の基準値 大幅な引き上げ』)

中国の通貨・人民元の為替レートは、中国人民銀行が取り引きの目安として前の営業日の終値を参考に日ごとに「基準値」を定めています。

その基準値が2日は、1ドル=6.3154人民元と、前の営業日にあたる先月30日の1ドル=6.3495人民元から0.5%余り引き上げられました。

中国が人民元をおよそ2%切り上げた2005年7月以降では最大の上昇幅。

目的は、SDR(特別引き出し権)に中国の人民元を組み込んでもらえるように、中国政府による事実上の人民元の引き上げとの見方もあります。

では、人民元がSDRに採用されることで、基軸通貨になるための道筋となるのでしょうか?

僕は、まだ早いのではと考えています。

 

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SDR(特別引き出し権)とは?

そもそもSDR(特別引き出し権)とは何か?

SDRとは、加盟国の準備資産を補完する手段として、IMFが1969年に創設した国際準備資産です。

SDRの価値は主要4大国・地域の国際通貨バスケットに基づいて決められ、自由利用可能通貨との交換が可能です。

つまり、IMF加盟国が、お金を借り入れる時の『権利』であると同時に『通貨単位』でもあるとうことです。

「1SDR=170円」といったように、疑似通貨としての機能を示しています。

特別引出権

IMF加盟国に対して、出資割当額を踏まえて、SDRを分配し、外貨不足などに陥った時に「ドル」「円」「ユーロ」「ポンド」に引き換えられるということ。

例えば

「10億SDRを貸してください」

「20億SDRを貸してください」というイメージでお金のやり取りがされる。

では、そのSDRの価値はどのように決めるのか。

それは、『通貨バスケット制』によって決定する。

現在のSDRの構成通貨は4つです

  1. ドル
  2. ユーロ
  3. ポンド

では、SDRに採用される条件は何か?

それは

  • 世界の貿易及び金融システムにおける通貨の相対的重要性が高いこと
  • 自由利用通貨であること

SDR構成比率は、IMF加盟国の外貨準備としての保有割合や民間貿易の金融取引割合を考慮して、IMFが5年ごとに決めています。

現在は、ドル:41.0%、円:9.4%、ユーロ:37.4%、ポンド:11.3%という構成比率です。

『通貨バスケット制』を採用しているメリットとして、それぞれの通貨の偏った変動を回避させ、変動幅を分散させることができる点です。
特別引出権

今後、人民元がSDRに採用されるとなるとどうなるか。

アジアを中心に経済の成長スピードが速くなっていること、それに対してのアメリカの対応範囲の限界と、中国の存在の大きさ。

アメリカの通貨特権が削られた、中国の通貨特権が拡大していくのかが注目されます。

 

なぜ、人民元の切り上げが起きたのか?

今回は、対ドルで人民元の切り上げが行われました。

では、『切り上げ』とは何か。

それによって何が起きるのかを考えます。

人民元の切り上げ

人民元の切り上げとは、元の通貨価値が上がることを意味し、為替レートが上昇します。

例えば、1元=19円程度です。

人民元が切り上がるというのは、1元が20円とか30円とかになる事を表します。

「元」を得る為に必要な「円」が増えたという事は、元の価値が上がった=元高(切り上がった)となるわけです。

つまり、今までは1つのモノを買うときに、1元(=19円)で良かったのに、1元(=30円)必要になってしまった。

元の価値が上がって、日本円の価値が下がったということ。

元が他の通貨との価値が相対的に上昇したということです。

中国が景気減速による人民元安を食い止めるため今夏、巨額の為替介入に踏み切ったことがわかった。

7~9月の介入額は約2290億ドル(約27兆5千億円)に上った。

中国景気の先行き不透明感などから、市場で元売り圧力が強まっている実情を示した。

報告書によると中国の為替介入は7月以降に急増し、同月が500億ドル、切り下げに踏み切った8月は1360億ドル、9月が430億ドルだった。

投資マネーの流出などによる人民元の下落加速を抑えるため、米国債を中心とする外貨準備を取り崩し、大規模な「外貨売り・元買い」という介入を実施。

様々な理由で、為替介入を実施する中国ですが、人民元の切り上げによって以下のようなことも起きることが言えるでしょう。

  • 中国への直接投資が減少する
  • 中国からの輸出が低下する
  • 輸出市場の低下から、企業業績の悪化
  • 失業問題
  • 人民元の供給過多によるバブルの発生
  • 国内消費の減少
  • 所得格差

人民元を恣意的に上げても、足元の状況を踏まえると、メリットは少ないような気がします。

したがって、アジアインフラ投資銀行、アジア圏の経済成長、中国の存在のということを踏まえ、『基軸通貨』としての人民元を確立させるための筋道を作っているのではないでしょうか。

しかし、

恣意的に為替に介入する点を踏まえると、

自由利用通貨という観点からは、あまりにもかけ離れている気がします。

 

SDRに入って何が起きるのか?

では、人民元がSDRに採用されれば何が起きるのか?

まずは、人民元を外貨準備としての需要が高まるでしょう。

現在は、60%以上がドルで占められているが、中国がSDRに採用されれば、人民元を外貨準備として利用する割合も多くなりそう。

ロイターによると

中国の人民元が国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)に採用されれば、準備通貨としてのお墨付きが与えられた形となり、数年内に世界で5000億ドル相当以上の需要が生まれるとみられている。

中国の存在感が増す一方で、自由利用通貨としての機能がまだ整っていない不安定な要素もある。

中国経済が低迷すれば、世界にもその影響が波及された事例を踏まえると、

中国経済が世界に与える影響力は十分に理解されて。

よって、不安定な通貨をSDRに採用することはリスクが伴い、まずは、ルールを世界水準に合わせ、運用していくことが先決であると考えました。

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