インバウンド需要に応えるために、『民宿』は必要なのか?(3)

「旅館の活用」「新設ホテルを増やしていく」という解決策について詳しく述べましたが、それぞれに問題がありました。(参照:『インバウンド需要に応えるために、『民宿』は必要なのか?(2)』)

今回は、「3.『民泊』つまり、空きスペースのシェアリングを実施していく」についてです。

それは、ホテルビジネスを揺さぶる存在となった『Airbnb』。

 

Airbnbとは?

そもそも『Airbnb』とは、どのようなサービスなのでしょうか?

Airbnbとは、世界中に空き部屋などを持つ宿泊場所の提供者(ホスト)と宿泊場所を探している旅行者(ゲスト)を繋ぐ、空きリソースを活用したインターネット上のプラットフォーム

物件は、一軒家やアパートの空き部屋(住人あり)か、まるまる貸切(住人なし)の場合が多いが、城、島、ツリーハウスなどユニークな宿泊施設を様々な価格帯で提供している。

2008年、ブライアン・チェスキー、ジョー・ビゲア、ネイサン・ブレチャージクの3人でサービスを創り上げました。

ユニコーン企業の1つであり、創業からわずか8年足らずで、評価額が200億ドル(約2.4兆円)という驚異的な成長を遂げているサービスです。

airbnbインフォグラフィック

こちらは、Airbnbの成長プロセスを可視化したインフォグラフィックです。

 

Airbnbのビジネスモデルを紐解く

airbnbのビジネスモデル

図が、Airbnbの収益モデルのピクト図解です。

ネタイズとしては、Airbnb側はホスト側の決済代行手数料として宿泊料金の3%、ゲスト側からプラットフォーム使用量として宿泊料金の6〜12%を徴収する手法を取っている。

 

世界の通算6000万人がサービスを利用した

airbnbの利用者数

創業から6年で評価額が200億ドルとなり、有名ホテルチェーンと比べても引けを取らない存在となっています。

airbnb評価額

また、世界で190カ国上、3万4000都市で空きスペース物件が登録されています。

その客室数は、100万室を超え、有名ホテルチェーンを抜くほど。

airbnb客室数

通算で6000万人のゲストがこのサービスを利用しており、2015年の夏だけで、利用者数は1700万人を記録。

過去5年間で、353倍もの成長を遂げています。

また、日本でのサービスの普及も拡大している。

掲載物件は、2万1000件を突破。2010年以降の訪日ゲストは、50万人を超えました。

2020年に東京オリンピックも控え、今後5年間で、4万件まで物件数を引き上げる計画です。

日本における、Airbnbの市場規模は、約400億円にまで膨らみました。そして、東京だけの市場規模は、250億円と全体の6割を占めています。

また、Airbnbユーザーによる日本への経済効果は、年間で約2220億円と無視できないレベルに。

 

まとめ

新設ホテルの建設などは、長期的に見ても、維持費用がかかることを踏まえると、なかなか踏み出せない選択肢。

しかし、Airbnbについて、空きスペースを『宿泊施設』として貸し出し、ホストとゲストをマッチングさせるアプリです。

ゲスト側のメリットは

  • 金銭的収入が得られること
  • (旅行者と)異文化交流ができること
  • 貸し出すまでの費用を安く抑えられる
  • 大きなプラットフォームを活用した集客が行える
  • ゲスト保証がある

ホスト側のメリットは

  • 比較的安く泊まれる
  • 現地の文化を体験することができる
  • 異文化交流ができること
  • どこでも使えるアプリである

日本国内でのAirbnbの利用を拡大することで、訪日外国人向けの宿泊施設の確保に対応することができる。

今後も拡大成長していき、ホテル業界のディスラプションを行っていく上で、法律の問題など解決すべき問題がたくさん出てくると思うが、スマホが普及した現代にルールを変える、もしくは緩和するといったような対応も重要でしょう。

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インバウンド需要に応えるために、『民宿』は必要なのか?(2)

訪日外国人数の増加に対して、日本の宿泊施設の客室が追いついていないことを述べました。(参照:『インバウンド需要に応えるためには、『民宿』は必要なのか?』)

したがって、訪日外国人の受け入れを強化しなければならなくて、3つ方法があると考えています。

  1. 旅館の活用
  2. 新設ホテルを増やしていく
  3. 『民泊』つまり、空きスペースのシェアリングを実施していく

今回は、「1.旅館の活用」「2.新設ホテルを増やしていく」という2つの解決策について考えてみます。

 

旅館の稼働率から見ると、まだ訪日外国人の受け入れ余力がある

まずは、「1.旅館の活用」について考えます。

旅館の定員稼働率にまだ余力があることを感じ、より稼働率を上昇させることで、不足している宿泊施設数・客室数を埋め合わせることができるのではないかということです。

日本のホテル客室数

旅館数は、30年前と比べても、ほとんど増減は見られません。ということは、かなりの数の旅館が存在していることが分かります。

旅館の稼働率

ビジネスホテルの定員稼働率と、ビジネスホテル宿泊者のうち、外国人が占める割合が高いとうい結果が出ています。

 

旅館の定員稼働率が低水準である5つの理由は?

しかし、図を見てみると分かるように、旅館に対する定員稼働率はまだまだ余裕があります。

旅館を利用することで課題を改善できると思いますが、「なぜ、旅館の定員稼働率はそこまで上昇していないのか」

  • 訪日目的とマッチしていない部分がある
  • アクセスが不便
  • インターネット環境が整っていない
  • 言語問題
  • プロモーションがうまくいっていない

 

訪日目的と旅館のあり方が乖離しているため

宿泊施設である旅館に対して、「訪日目的とマッチしていない」ということが仮説で挙げられます。訪日外国人数が上昇しています。

特に、中国人観光客の増加率は高く、2015年1月〜10月までの訪日中国人数は、400万人を突破しました。

中国人観光客の主な訪日目的は、『ショッピング』です。

電化製品、医薬品、化粧品、日用品など、中国人観光客による『爆買い』が注目されました。

1人あたりの旅行消費額の内訳として、買い物に充てる金額は一番高い。

すなわち、買い物を目的とした旅行であり、それをより効率的にするために、「駅に高いホテル」や「インターネット環境が整っているホテル」など宿泊施設に対して、『利便性』を求めるでしょう。

それと比較すると、旅館は「静かな場所にある」「駅から少し離れている」というイメージを受けます。

よって、訪日目的と旅館のあり方がマッチしていないことが、図の稼働率に表れているのではないでしょうか。

 

ITインフラが十分に整っていない

各地域にある旅館をイメージすると、なんだか古臭い・廃れているようなイメージを受けます。

それに付随し、インターネット環境、Wi-Fi環境などのITインフラがしっかりと整備されていないでしょう。

訪日外国人の受け入れを強化していく上で、IT化は必須条件です。

訪日中国人は、We ChatやWeiboなどのソーシャルメディアを利用して、買い物するアイテムを検索し、買ったものをタイムラインに投稿します。

また、その他の訪日外国人に関しても、調べ物やソーシャルメディアなどをする上で、インターネット環境が整っていることは重要です。

その点が、ビジネスホテルなどと比較すると、ウィークポイントであるのではないでしょうか。

 

訪日外国人に対しての『旅館』のプロモーションがうまくいっていない

それに伴い、旅館のプロモーション活動が活動ができていないことも挙げられる。

つまり、そもそも訪日外国人がその『旅館』の存在を知らないということが考えられます。

FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアや、YouTubeなどの動画プラットフォームを活用する必要があります。

プロモーション戦略を立てて、しっかりと情報発信をし、(潜在的な)訪日外国人に対して、アピールすることが重要でしょう。

  • 温泉に入りたい
  • 日本文化を体験したい
  • 和室に興味がある
  • 日本料理を食べたい

これらの目的で訪日する観光客も多いです。

プロモーション次第で、まだまだ伸びると思います。

 

新設ホテルの建設は難しい?

2つ目の解決案である「2.新設ホテルと増やしていく」についてです。

需要と供給をバランス良く保足せるために、単純に上昇する需要に対して、ホテル数を増やすという方法です。

しかし、これが難しい理由があります。

それは「コストがかかる」と言うこと。

当たり前かもしれませんが、建設コスト以外にも、ランニングコストとしての維持費用が問題になってくるのではないでしょうか。

まずは、主要企業の客室稼働率です。

主要企業の客室稼働率

高い稼働率を維持しています。2011年は東日本大震災が起こったことで、外国人利用者含め、利用者が減少したのでしょう。

主要企業の客室利益率

それに対しての、営業利益率の推移です。

高い稼働率の割には、営業利益率は高くありません。むしろ、2011年の宿泊者数が減少した時は、マイナスに推移した企業も存在します。

したがって、ホテル運営において固定費用が高いということ。建設コストで莫大な資金を使用した上で、多額のランニングコストが発生します。

ホテル・旅館の倒産件数

帝国バンクによる、調査によると、ホテル・旅館業の倒産件数は100件。

コスト面を踏まえて、倒産理由を考えると、慢性的な利用者が減少したことで、(ランニング)コストが支払い切れず、倒産してしまうケースが多いと予想できます。

訪日外国人が今後も上昇するということで、中期的に需要が見込まれても、コスト的な部分を意識すると、安易に新設ホテルを建設するという選択肢を取るのは難しいのではないでしょうか。

 

まとめ

「旅館の活用」「新設ホテルを増やしていく」という解決策について詳しく述べましたが、それぞれに問題がありました。

次回は、「3.『民泊』つまり、空きスペースのシェアリングを実施していく」について詳しく考えていきます。

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インバウンド需要の取り込みで日本に高級ホテルを展開すべきか

観光庁によると、2015年7~9月期の訪日外国人の旅行消費額は、前年同期比81.8%増の1兆9億円となり、7期連続で過去最高を更新した。1兆円を上回ったのは1四半期では初めてとなる。(参照:『“訪日外国人”消費、「年間3兆円超えは確実」–7~9月期、初の1兆円突破』)

訪日外国人数が増加することで、課題になってくるポイントが、宿泊先の問題です。

2015年の1月〜9月の訪日外国人数は、約1448万人。

この勢いで増加すると、1900万人を突破するのではと予測されています。

Airbnbなどの宿泊先をシェアするサービスも広まってきたが、まだまだ宿泊先が足りません。

その中で、インバウンド需要の取り込みを踏まえ、高級ホテルを展開するべきであると考えています。

 

なぜ『高級ホテル』なのか?世界にある高級ホテル業界について

日本の宿泊産業の市場規模は、約8兆円。うちホテル業界の市場規模は、約1兆円です。

2014年においては、訪日外国人数の増加に伴い、売上高は1兆6600億円になったとのこと。

地方などにいくと、有名なホテル・旅館はありますが、まだまだプロモーションもしっかりとできていなかったり、認知度が低い宿泊施設は多いのが現状です。

いわゆる、『ラグジュアリーホテル』と言われる、高級ホテルも少ない。

一方で、世界に視野を広げてみると

富豪や、セレブリティが利用している、誰もが憧れるリゾート地が存在しています。

ドバイは、最高峰の商業ビル「ブルジュ・ハリファ」を中心に、高層ビルが群立しており、世界のセレブたちが最も注目しているシティ・リゾートでしょう。

ドバイの中でも高級ホテルと言われている『ブルジュ・アル・アラブ』は、アメニティーがすべてエルメスという豪華さです。

Burj_al_Arab_Sunset

また、所得税や相続税がない「タックス・ヘイブン」の国として知られるモナコ(公国)は、世界各地から高額所得者が多く移住する国として知られています。

ウィリアム王子もバカンスで訪れたことがあるモルディブ。

そして、メキシコ随一のビーチであるカンクンなど、世界には憧れのリゾート地が広あっています。(参照:『死ぬまでには一度は泊まってみたい世界の豪華ホテル21選』)

したがって、富裕層に対する受け入れ環境が整っていて、富裕層が気持ち良くお金を使えるようなサービスと環境が整っています。

しかし、日本にはまだそういった環境が少ない、もしくは知られていない。

今後のインバウンド需要を取り込むポイントの一つとして、富裕層の取り込みは必須です。

 

星野リゾートなどが高級路線に移行している

全国で、高級ホテルや旅館を運営している星野リゾートがスピード感ある様々な取り組みを行っています。

1つは、東京への『都市型旅館』の展開です。

2016年7月、東京・大手町の一等地に『星のや東京」を開業します。

これまで軽井沢をはじめとした全国の観光地で事業を展開していたが、初めて東京へ進出したことになります。(参照:『星野リゾート、1泊10万円の東京旅館に描く夢』)

目的は、先々のインバウンド需要の顕在化でしょう。2020年には東京オリンピックが開催され、足元の状況を踏まえても、訪日外国人数が上昇しています。

外国人の観光客を、おもてなすためにも東京へ高級な都市型の旅館を展開したのです。

星のや東京

また、シティーホテルの買収や、山口県長門市に進出することも発表しています。

(参照:『高級路線の星野リゾート、シティーホテル買収の狙いは』)

(参照:『星野リゾート、山口・長門に進出へ 倒産した老舗の跡地』)

老舗ホテルである、ホテルオークラも2019年春に新装開業する予定し、客室の平均販売価格を1泊4万円と現在の2倍にする予定。

帝国ホテルは今春に改装した都内の高層棟で、6月の平均販売価格が42%上昇した。堅調なレジャー需要と訪日客を追い風に稼働率は高水準で推移しているようです。

今後も外資系高級ホテルなども参入し、ますます『高級化』が進むのでしょう。

 

2015年の訪日外国人数は1900万人に。訪日目的と行動心理を紐解く

2015年、1月〜9月の訪日外国人数は、約1448万人となり、過去最高水準となっています。

2020年までに訪日外国人数を2000万人という目標に対して、前倒しで達成できる見通しも立ってきました。

訪日外国人消費額

訪日外国人による消費額は、約2兆300億円。

そして、2015年、1月〜9月の訪日外国人による消費額は、約2兆6000億円となり、3兆円を越す勢いです。(参照:『訪日外国人:消費額最高 77%増、2兆5967億円』)

訪日外国人消費額

国別では、中国・台湾・韓国などのアジア圏が多いという結果に。

訪日目的

ショッピング需要と日本文化を体験したいというニーズが強いことが分かります。ショッピングに行くにも、立地の良い・環境に良い宿泊施設が求められてきます。

それを踏まえると、一等地にある高級ホテルなどに泊まる観光客は多いはずです。

訪日外国人消費動向

国別で、訪日目的を分析すると、ショッピング需要が高いのはアジア圏。

訪日中国人による『爆買い』は注目されていますが、自国よりも、ブランド品などが安く買えて、かつ渡航距離も近いという環境は、受け入れられていると分析します。

一方で、日本文化を体験したいというニーズが高いのは、欧米。

大江戸温泉などで見受ける外国人は、欧米人が多いですし、分析結果に納得します。

現在、中国は『モノ』への消費が顕在化しています。

しかし、今後、経済的にも豊かになってくると同時にサービスや体験などの『コト』への消費が増えると予測します。

そうなった時に、「良いホテルに泊まりたい」「美味しい料理が食べたい」などのサービスへのニーズが高まるとともに、高級ホテルなどへのニーズも高まるでしょう。

 

まとめ

訪日外国人が増えていく中で、ホテル需要は伸びていきます。

その中でも、高級ホテルへのニーズも高まると予想でき、富裕層の受け入れ環境を整えるという意味でも必要になってくるでしょう。

また、今後は個人観光客が多くなり、地方への旅行も多くなってくると思います。

そこで、地方にある旅館などをリノベーションして、高級化することは面白い取り組みになってくるのではと思います。

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