年々人気となっているランニング。今や、ランニングを楽しむ人は1000万人を超えると言います。
そんなランナー達が愛用しているのが、日本のメーカーの1つであるアシックスのランニングシューズです。
スポーツメーカーであるアシックスが着実に売上を伸ばし、業界3位のプーマ(ドイツ)を抜きくほど勢いに乗っています。(参照:アシックス快走、世界3位も射程内 海外で人気の理由は)
現在、アシックスの売上高は約3500億円であり、その売上の約80%が海外によるものです。
また、カジュアルシューズブランドの『オニツカタイガー』が海外で非常に人気であり、『オニツカタイガー』の海外販売比率が85%と海外での人気ぶりが伺えます。
今回は、アシックスの業績を支える『オニツカタイガー』の人気の理由を考えていきたいと思います。
目次
そもそも『オニツカタイガー』とは?
戦後間もない1949年に日本の復興を強く願った鬼塚喜八郎が創業したスポーツシューズのブランドでした。
スポーツによる健全な青少年の育成を目的にスポーツシューズの製造・販売を行っていくうちに、オリンピック用のスポーツシューズを手がけるまでに成長します。
しかし、1977年にオニツカなど3社による合併で、現在のアシックスが誕生したと同時に、『オニツカ』ブランドは消滅します。
そして、1990年代後半になってストリート・ファッションの世界でレトロ・スニーカーが大流行します。
アシックスが1960年代後半から1970年代の『オニツカ』のスポーツシューズを、ストリート向けのレトロ・スニーカーとして復活させたのです。

出典:『http://www.zalora.com.ph/onitsuka-tiger/』
現在は、アスリートだけでなく、ヨーロッパを中心とした世界中の人々から絶大な支持を得て、国内でも高い人気をシューズブランドとなっています。では、なぜこれほどまで売れるようになったのでしょうか。
1.販売チャネルを限定し、高いブランドイメージを維持していること
日本でも、オニツカタイガーはディスカウントショップなどでは販売しておりません。
当時からのブランド戦略に則ったチャネル選定を行っています。
長い間、デフレもあって、多くの企業が価格競争を仕掛けがちです。
目先の利益を求め、量販店やディスカウントショップでの販売を実施してしまうところ。
一方で、オニツカタイガーの販売チャネルは、スポーツシューズであるのにも関わらず、あえてスポーツ用品店ではなく、ファッションブティックや、セレクトショップなどで商品を展開。
カラフルなスニーカーは瞬く間に人気になりました。
BRのカリアンさんから、ロンドンのOnitsuka Tigerショップにこんなディスプレイがされてたよ~って報告。こちらのビジュアルに忠実に、草を律儀に入れてるのが丁寧。英国人は桜を見て春の訪れを感じるのだろうか? pic.twitter.com/xrDMNLUWaQ
— NAM(ナム) (@NAM_collective) 2013, 3月 21
成功した要因は、『弱者の戦略』つまり徹底して攻めるべきターゲットを絞り、メインターゲットがどういった人たちなのかを細かく明確にしていきます。
そのメインターゲットの中で、シェアを獲得していく動きが結果的に多くの人に愛されるスポーツシューズになったのです。
2.レトロなデザインで履き心地が良さが魅力的
履き心地の良さと、個性的なデザインが日本のみならず、アメリカやヨーロッパでも人気の秘密です。
オニツカタイガーは、敢えてスリムなシルエットにこだわり、日本発の洗練されたシューズとして、売り込んでいきました。
こういったサービスを徹底してブラッシュアップしたことが、海外での人気に火をつけたのでしょう。
3.リーズナブルな価格設定
洗練されたデザインであり、高いブランドイメージを持っているオニツカタイガーですが、価格設定についてはリーズナブルです。ほとんどの商品が13,000円以下で購入可能です。
4.映画『キル・ビル』にも登場で海外での人気のきっかけを作った
クエンティン・タランティーノ監督が手がけた映画『キル・ビル』。
日本を舞台にしたこの映画で、女優ユア・サーマンがオニツカタイガーを着用し、話題となりました。
ユア・サーマンが着用したモデルを限定で3400足販売したところ、即完売したところからも、人気に火がついたことが伺えます。
これをキッカケとなり、オニツカタイガーの海外での認知が高まりました。
これは、複数のブランドを管理するためのブランド・ポートフォリオという考えのもと、マーケティングを行った成功例でしょう。
以前は、良い商品を作れば作るほど売れる時代でした。
そんな時代では、ブランド戦略もなく、商品のネーミングがあるくらいに留まっていて、いざ、マーケットがコモディティ化して、質の高い商品でも価格競争に巻き込まれると太刀打ちできないという状況に陥っています。
したがって、ブランドが利益を生むということを理解して、ブランドの適切な運用を行うことが必要なのです。
アシックスの場合、普通の競技用のシューズとファッションシューズのオニツカタイガーとを分けることで、それぞれ違ったマーケティング戦略、販売戦略などを立てることで、それぞれの強みを生かすことができたのだと思います。
結果的に、確立したブランド力と、洗練されたデザイン/サービスを追及したことで、顧客ロイヤリティを獲得しています。
やはり オニツカタイガー キテるな٩(ˊᗜˋ*)و 欲しい靴だらけ… pic.twitter.com/2UsjExQmmV — 田村淳 (@atsushilonboo) 2015, 4月 13
[明日発売] オニツカタイガー×ノワート第2弾、限定スニーカー登場 – 動物や植物などのグラフィックデザイン – http://t.co/MjKCJ5Oike pic.twitter.com/eih0M6Gc1K
— Fashion Press (@fashionpressnet) 2015, 4月 10