今、アメリカで地ビールが人気になっています。(参照:『地ビール、米国で空前の売れ行き ざわつく大手メーカー』)
米国の地ビールの醸造所の数は、米国醸造家協会によると、15年11月で4144。
禁酒法時代前の1873年のピークの4131を上回り、過去最多だ。
販売額は2014年に196億ドル(約2兆2千億円)で、10年前の4.4倍に増えた。
醸造業者も増え、地ビールの販売額も年々増えているとのこと。
ビール業界というものは、昔からある市場であり、なぜ、近年マーケットが伸びてきているのだろうか。
それは、『ビール』自体のポジショニングと、消費者層の変化が関係しているのではないでしょうか。
目次
アメリカのビール市場の市場規模は1000億ドル。そのなかで、大手メーカーのシェアは高い
アメリカのビール市場について整理します。
アメリカのビール市場の市場規模は、約1000億ドル(約12兆円)。
年間消費量は、2418万kl(2011年)であり、1人あたりの年間消費量に関しては、121本/年消費するほどです(2011年)。
また、アメリカにおける、ビール市場の構成比を考えてみます。
No | メーカー名 | シェア率 |
1 | Auheuser-Busch | 46% |
2 | MillerCoors | 27% |
3 | Crown Imports | 6.2% |
4 | Heineken USA | 3.9% |
Anherser-Buschは、アメリカの大手ビールメーカーであり、世界第3位のビール生産量を誇ります。
主力のビールブランドは、『バドワイザー』。
社名よりもビールブランドの認知が先行しているほど、世界でも有名なブランド。
ビール市場のシェアを踏まえると、大手ビールメーカーが台頭しているイメージを抱きます。
地ビールの市場規模や196億ドルにまで成長。2020年には全体シェアの20%を目指す
ビール市場の成長は、横ばいだが、地ビールの市場規模は、年々増加しています。

地ビールのシェアは、ビール市場の全体の11%にまで拡大しています。
2014年には、醸造所数も、3000か所を超え、年間の生産量も1000万バレル(17億リットル)を超えました。
地ビールの生産量は18%増加で推移しており、金額ベースでは、22%の伸びを達成しています。
金額ベースであれば、市場全体の19%を占めるほどに。
地ビールの市場規模は、196億ドルにまで成長しており、2020年には全体の20%のシェアを獲得の見通しを立てています。
地ビールの市場規模が拡大している要因は?
地ビールの市場規模が拡大している理由は、何なのでしょうか。
- 『ビール』のポジショニングの変化
- ターゲット層の変化
- 価格的な要素
- 流通チャネルの変化
- 製品自体の変化
様々な仮説ができますが、ここでは、「『ビール』のポジショニングの変化」と「ターゲット層の変化」を論点にあげたいと思います。
アメリカでよく飲まれるお酒は、『ビール』です。
ビール市場は、古くから存在しており、ビールという存在自体が馴染み深いものであると思います。
価格は、高いものでボトル6本入りで約15ドル(約1700円)と、大手メーカーの倍ほど。
それでも、マンゴーやグレープフルーツなど様々な材料を使った約70種類の商品が好評だ。
昨年の売り上げは、前年の2倍の1億ドル(113億円)を超えた。
以上を踏まえると、地ビールの価格は、大手ビールメーカーの商品と比較すると、決して安くはない。
したがって、大手ビールメーカーの商品は、コモディティ化しているので、「ダサい」「他のものを飲みたい」というような、消費者動向の変化が起きていると考えられます。
地ビールを楽しむことが、ファッショナブルで、オーガニックなイメージが定着し、『地ビール』のポジショニングが確立していったのではないでしょうか。
また、スマホやソーシャルメディアの登場により、個人の情報の影響力が大きくなったこともあり、地ビールに対する認知度、理解度が高まっているのでしょう。
日本でも『ビール』の認知が変わっていく?!
日本でも、今後地ビールの需要は高まっていくでしょう。
すでに、地ビールの消費も伸びていますが。
消費増税後も、プレミアムモルツなど、高価だが、美味しいビールへの需要が高かったことを踏まえると、ビールという認識も変わっていくことが伺えます。
そして、スマホやソーシャルメディアの登場により、ライフスタイルの変化を起こしています。
Instagramなどに地ビールを飲んでいる写真を投稿するなど、地ビールを飲む目的が変化することで、さらなる成長が予想されます。
さらに今後は、外部環境の変化をも踏まえた、マーケティング戦略が重要になってきますね。
今回は、昔から存在するビール市場の中で、地ビールの市場が成長していることをピックアップし、マーケティング的な要素で、仮説を立ててみました。
普段から転がっている、情報をインプットするだけでなく、『考える』ということを意識しながら、インプットすると、違った見方ができて重い白いですね。