技術開発が進んでいく中で、シンギュラリティは来るのだろうか。
シンギュラリティとは、われわれの生物としての思考と存在が、みずからの作りだしたテクノロジーと融合する臨界点であり、その世界は、依然として人間的ではあっても生物としての基盤を超越している。
21世紀では、100年分のテクノロジーの進歩を経験するのではなく、およそ2万年分の進歩をとげるのだ。もしくは、二〇世紀で達成された分の1000倍の発展をとげるとも言われている。
レイ・カーツワイル氏著の『シンギュラリティは近い』を読みました。

テクノロジーの進歩として象徴的なのが、人工知能だと思う。
最近、話題になったニュースで
「人工知能が病名を突き止めて、患者を救う」といった国内初の成功例をあげたのも記憶に新しい。
人口知能が病名を突き止め患者の命を救った国内初の事例とのこと。
人口知能の強みは、膨大なデータの集積と、そこから特徴量を見出すことができるようになったこと。
こういった事例が増えれば普及へのハード…https://t.co/eEW3cWhNUe#NewsPicks— Ryota (@chanryo22) 2016年8月5日
人工知能のようなテクノロジーの進化は、「指数関数的」に成長していくという。
そして、2045年にはシンギュラリティが誕生すると予測している。
進化の6つのエポック
人間の進化には、6つの段階があるとされている。
エポック1 物理と化学
物質とエネルギーの段階。基本的な宇宙の法則に基づきエネルギーが存在する状態。
エポック2 生命とDNA
数十億年前に始まり、分子の複雑な集合体が、自己複製機構を形成するまでになり、生命が誕生した。
エポック3 脳
自身の感覚器官を使って情報を検知し、自身の脳と神経系に情報を蓄えることのできる有機体が作り出された。
エポック4 テクノロジー
機械を開発することで、テクノロジー自体が、情報の精巧なパターンを感知し、保存、評価することができるようになった。
(ここが現在)
エポック5 人間のテクノロジーと人間の知性が融合する
これから数十年先、シンギュラリティが始まる。人間の脳に蓄積された大量の知識と、人間が作り出したテクノロジーが持ついっそう優れた能力と、その進化速度、知識を共有する力とが融合する。
エポック6 宇宙が覚醒する
人間の脳という生物学的な起源を持つ知能と、人間が発明したテクノロジーという起源を持つ知能が、宇宙の中にある物質とエネルギーに飽和するようになる。
シンギュラリティには、GNR要素が必要になる
21世紀にはシンギュラリティが始まるということだが、その前提条件として、GNR要素が不可欠だと言っている。
- G=Genetics(遺伝学)
- N=Nanotechnology(ナノテクノロジー)
- R=RObotics(ロボット工学)
IT技術の能力と、パラダイムシフトの起こる確率が上昇していることを背景に、シンギュラリティが始まる筋道を確実に作り上げているという。
今後、「ナノボット」が登場し、人体の中に組み込まれたり、脳の構造をテクノロジーを駆使してデジタル化できるようになる。
そんな日が訪れた時には、「人間」という定義はどうなるのか。
今まで常識が覆された「シンギュラリティ」の時代が到来した後はどうなるのか。
ということを具体的に書かれた本。
数十年先を予測することは困難だが、現在置かれている状況を理解するためにも非常に良い本だと思ったので是非読んでもらいたい。