川上徹也氏著の『物を売るバカ』を読みました。
タイトルを見ると、挑発的な要素を含んだ本なのかなと思ってしまう方も多いかと思いますが、本格的なマーケティング本の1つであると思います。
今回は、『物を売るバカ』の内容を簡単にまとめられればと思います。
顧客には『ストーリー』を売れ
世の中には2つのお店がある。
- 商品(モノ)を売るお店
- 商品(モノ)以外を売るお店
文字通り、商品を売るお店が多い中、商品以外を売るお店とは一体どんなお店なのか?
それは、商品自体が持つ『価値』をお客さんに売っているお店。
例えば、建設資材を販売している企業であるならば、建設現場で使用される資材を売る行為が行われるわけだが、サービスの本質を突き詰めていくと、その資材を通して『安全』を提供しているということにつながると思う。
では、その『安全』を担保した資材を生産して、現場に届けるまでにどのような『プロセス』があったのか。
その『プロセス』をお客さん側に伝えることがこそが、商品以外を売るお店なのである。
物が溢れる時代において、たくさんの類似したサービスが流通している。
今までは、「製品」「品質」「価格」「流通」などで差別化を図ってきたが、そういうわけにもいかない。
この『プロセス』つまり『ストーリー』によって差別化を図っていき、さらにお客さんをファン化させることが重要であることを伝えている。
お客さんが感動する『ストーリー」とはどんなものなのか?
では、お客さんが感動する『ストーリー』とはどんな要素を含んだものなのかを考えていく。
マーケティングで活用できるストーリーとは
お客さん、社員、取引先などに対して語る、本当にあった(フィクションでない)「個人」「会社」「お店」「商品」などにまつわるエピソードやビジョンのこと。
あくまでもマーケティングのためのストーリーは、お客さんに感動してもらって、サービスを買ってもらうための手段であるのだが、そういったストーリーはどんなところから見つかるのかというと
- 「志」「大義」「理念」「ビジョン」などビジネスにかける思いや考え方
- 「体験」「つながり」「コミュニティ」など会社、お店、商品を通じて得られるもの
- 「創業者の思い」「経営者の生い立ち」などトップの人間性
- 「接客」「陳列」「商品の編集」「店員のキャラクター」など店頭まわり
- 「社会貢献」「地域貢献」「社員を大切にする」など世の中の役に立つこと
- 「サプライズ」「期待値超え」「エンターテイメント」など心が動くサービス
ストーリーは、作るのではなく、既存の要素から発見するもの。
ストーリーの黄金律と、『モテる会社』に必要なブランディングのポイント
2つのリンゴがあるとする。
- 真っ赤なリンゴ
- 絶対に無理と言われていた無農薬栽培を8年間かけて成功させてできたリンゴ
ほとんどの人が後者を選ぶだろう。
つまり、選ばれるための要素、つまりストーリーに含まれている黄金律がある。
その黄金律とは
- 何かが欠落しているまたは欠落させられた主人公が
- 何としてもやり遂げようとする遠く険しい目標やゴールに向かって
- 数多くの葛藤、障害、敵対するものを乗り越えていく
この3つの要素が含まれている物語を聞くと、人は感動を覚え、その感情が行動へと変わっていくのだ。
また、『モテる会社』になるためのポイントも存在していて、
- 『志』があること
- 独自化ポイントがあること(ファーストワン、オンリーワン、ナンバーワン)
- 魅力的な物語があること
SNSなどが普及したことによって、情報発信のしやすい環境が整ったことで、自分から情報を発信することの重要性も上がっていると思います。
逆に考えると、発信した情報が持つ影響力も大きくなっていて、それを活用したマーケティング戦略を立てることはマスト項目でしょう。
『物を売るバカ』で紹介されているストーリーブランディングを使った戦略を構築するのも1つの手だと思います。