書評

【要約】USJを劇的に変えた、たった1つの考え方|マーケティング思考が身につく良本です

USJの経営危機をマーケティングの力で救った森岡さんの本です。

森岡さんはP&Gでマーケティングを行ってきた方です。

この本を通して、マーケティングに必要な考え方はなんなのか、USJを救った考え方はなんだったのかなどマーケティング思考に欠かせない要素を学ぶことができます。

USJを劇的に変えた、たった1つの考え方は『消費者視点』でした

2001年に開業したUSJですが、年々来場客数が減少していき、経営危機に落ち込んでいました。

その中で、ハリー・ポッターをオープンした2014年度のUSJの年間集客は1,270万人。その後も快進撃を続け、2015年10月に過去最高の月間175万人を集客し、東京ディズニーランドを単月で超えたのです。

なぜ、経営危機から脱して東京ディズニーランドをも越える集客を実現することができたのか。それは、『消費者視点』という価値観と、その仕組みを導入したから。

USJが経営危機を脱することができたのは、『消費者視点』という価値観と、その仕組みを導入したから

今までのUSJになかった『消費者視点』『マーケティング思考』という考え方を作ることによって、消費者ニーズに応えることができているからV字回復を成し遂げることができました。

『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』を通して伝えたいこと

私がUSJを劇的に変えた、たった1つの考え方を通して、伝えたいことは3つです。

この記事で得られること
  • マーケティング思考をするために必要な考え方
  • マーケティングの具体的な思考フロー
  • ビジネスで成功するためには『消費者視点』と『消費者インサイト』が重要です

マーケティング思考とは?

成功を引き寄せるマーケティング思考の全体像をまとめます

成功を引き寄せるマーケティング・フレームワークは以下の通りです。

  • 戦況分析
  • 目的
  • 目標(WHO)
  • 戦略(WHAT)
  • 戦術(HOW

この本でまとめられているマーケティング思考の全体像です。

まずは、どの市場(マーケット)で商品(サービス)を投下させるのかを考え、併せて消費者と競合の理解をしていきます。

戦況分析によってもたらされた情報資源を土台にして適切な目的を設定します。

WHO(誰に)を決定し、そのWHOに対してWHAT(ブランド価値の部分を訴求するのか)を決定し、最後にHOW(どうやってWHOにWHATを届けるのか))を決定していくのです。

それぞれのポイントについては、後ほど詳細を説明します。

日本のほとんどの企業がマーケティングができない

日本の企業はマーケティングという考え方が苦手です。

日本企業の考え方
  • 消費者(市場):カレーが食べたい!
  • 社長(会社):すき焼きで差別化するべきだ
  • 結果:カレーすき焼きを作る

例えば、消費者(市場)が「カレーが食べたい」というニーズがあるとします。その中で、社長が「すき焼きで差別化するべきだ!」という主張に対して、優秀なマーケターが頑張らないと、「カレーすき焼き」を作ってしまうのです。

消費者が「カレーライスを食べたい」と感じていることが分かったなら、トップが「すき焼き」といったとしても「カレーライス」を押し通すことが重要なのです。

なぜ、日本企業はマーケティングができないのか

マーケティング思考が遅れた主な理由は、日本の技術志向、規制による競争阻害、終身雇用制などの事情によると考えられます。

戦後日本には、「作れば売れる」という経済の好循環が生まれていました。「作れば売れる」という価値観、日本人の特徴を踏まえて伸ばしたのは『技術力』。

消費者から求められるものを作るのではなく、高技術を活かした商品を世の中に生み出し、受け入れさせる環境がそうさせたのです。

目的を果たしていない日本のTVCM

TVCMの目的は、消費者にブランドを知ってもらって、「買いたい」と思わせることです。
しかし、日本企業のTVCMはその使命を果たせていないものが多い。

チャンネルを変えられるのが怖かったりする影響によって、クリエイティブ性の高い広告が多くなっています。

マーケティングの役割は「売上を伸ばす」こと

そもそもマーケティングってどんな役割なのかを説明します。

マーケティングとして重要な考え方は、会社の売上(トップライン)を大きく伸ばすこと。つまり、マーケティングは会社の頭脳であって心臓ということです。

マーケティングの本質=売れる仕組みを作ることための3つのポイントとは?

営業は商品(サービス)を売ることが役割で、マーケティングは商品(サービス)が売れるように仕組みを作ることです。

売れる仕組みを作るための3つのポイント
  1. 消費者の頭の中を制する
  2. 店頭(買う場所)を制する
  3. 商品の使用体験を制する

消費者の頭の中を制する

人の認識を変えることで、自ブランドが選ばれる必然を作ることを目的とします。

認知率:人間は自分が知らないものに対しては購買行動をとりにくい生き物なのです。知らないブランドより、知っているブランドの方が安心なのです。

ブランド・エクイティーとは、消費者の頭の中にあるブランドに対する一定のイメージをブランド・エクイティーと呼びます。

ブランド・エクイティーを競争に有利になるように築くことで、自ブランドはどんどん売れるようになります。

店頭(買う場所)を制する

消費者の頭の中に十分な認知と有利なブランドエクイティーを築けていたとしても、そのことが必ずしも購入に結びつかない場合がありますので、3つのポイントを押さえる必要があります。

店頭を制するポイントは?
  • 配荷率
  • 山積(店頭プロモーション)
  • 価格

市場にどのくらい自社商品が流通していて、その商品がどのように店頭で販売されているのか。そして、自ブランドのイメージが崩れない価格戦略が実施できているのかがカギです。

商品の使用体験を制する

2回目以降の購入をリピートといい、リピートする確率をリピート率と言ったり、再購入率と言います。リピート率に最も大きな影響を与えるのが、購入して実際に使ってみた商品の使用体験。

マーケターがやるべき王道は、商品はサービスのR&Dに対して、消費者が喜ぶものをあらかじめちゃんと作らせておくことです。

売れる仕組みを作るためには、ビジネス・ドライバーをコントロールすること

売れる仕組みを作るために、マーケターはビジネス・ドライバー(流れ)を理解し、コントロールすることが重要です。

  • Awareness(%):認知率
  • Distribution(%):店頭での配荷率
  • Display(%):店頭での山積率
  • Trial(%):購入率
  • Repeat(%):再購入率
  • Pricing:平均価格
  • Purchase Frequency:購入頻度

「売上金額」=「売上個数」×「平均価格」=「消費者の数」×「認知率」×「配荷率」×「購入率」×「平均価格」

マーケターは目指している売上個数や売上金額を達成するために、このようなモデルを用います。

逆に上手(うま)く行くためには「認知率を何%いかなくてはいけないか?」とか「購入率をあとどれだけ上げなくてはいけないか?」などと思案しています。目的から逆算して、成功するための必要条件を理解しようとするのです。

戦況分析について

戦況分析とは、市場構造をよく理解して、それを味方につけるために行います。

戦況分析をする理由は?

戦況分析をする理由はなんなのか?

それは、市場構造に逆らって確実に失敗する地雷を避けるためです。

戦況分析では5C分析を行いましょう

5C分析とは
  1. Comany(自社の理解)
  2. Consumer(消費者の理解)
  3. Customer(流通など中間顧客の理解)
  4. Competitor(競合する他社の理解)
  5. Community(ビジネスを取り巻く地域社会の理解)

自社のビジネスに多大な影響を与える要素を予め明確にするために分析していきます。

戦略を学ぼう

目的と目標について

目的は、最上位要素です。目的が変われば、戦略も変わります。まずは、「何を成し遂げたいのか」目的を明確にしましょう。

  • 目的:達成すべき使命で、戦略の最優先事項
  • 目標:目的を達成するための具体的な事柄

戦略とは

戦略とは、目的を達成するための資源配分の選択することです。

なぜ、戦略が重要なのかというと

  • 達成するべき目的があるから
  • 資源は常に不足しているから

資源は無限にあるわけではないです。目的を達成するために限られた資源をどのように選択して集中させるかがポイントです。

戦略と戦術の違いは

戦略とは、目的を達成するための資源配分の選択

戦術とは、戦略を実行するためのより良い具体的なプラン

戦略がずれると全てのプランが崩れ落ちます。

例えば

  • 目的:東京ディズニーランドにいく!
  • 目標:東京ディズニーランド
  • 戦略:速くいく
  • 戦術:車、電車

 

  • 目的:東京ディズニーランドにいく!
  • 目標:東京ディズニーランド
  • 戦略:上海ディズニーランドにいく
  • 戦術:飛行機

このように戦略が間違っているとブレの修正ができなくなります。戦術を考えるよりもまずは戦略を明確にしましょう。

良い戦略の見分け方

4つのポイントを基に良い戦略かどうかを見分けていきましょう。

良い戦略の条件
  • セレクティブ:選択的かどうか
    →やることやらないことを明確に区別できている
  • サフィシエント:十分かどうか
    →経営資源がその戦局での勝利に十分であるかどうか
  • サステイナブル:継続可能かどうか
    →短期ではなく中長期的で維持継続できるか
  • シンクロナイズド:自社の特徴との整合性は
    →自社の特徴(強みと弱み、あるいは経営資源の特徴を有利に活用できているか

WHO(誰に売るのか)

WHOとは、経営資源を投下する目標である消費者。大きな括りを戦略ターゲット、特に集中投資する括りをコアターゲットとします。

ターゲットの設定は、目的に対して小さすぎないようにするのがポイントです。

コアターゲットの見つけ方

既存ブランドがコアターゲットを発見するときの6つの切り口はこちらです。

ターゲットの決め方
  • ペネトレーション
  • ロイヤルティ
  • コンサンプション
  • システム
  • パーチェス・サイクル
  • ブランド・スイッチ

WHAT(何を売るのか)

WHATとは、ブランドエクイティーの中で、消費者がブランドを買う根源的な理由、ベネフィットのこと。

消費者がそのブランドを選ぶ必然、そのブランドを購入する根源的な理由、それがWHAT(何を売るのか)での戦略的な選択となります。

ポジショニングによって、自ブランドを選ぶ必然性を作り出す

ポジショニングという考え方があります。簡単にいうと消費者の頭の中にある競合との相対的な位置付けのことです。

消費者の頭の中で、購入の強い理由となるブランドエクイティーに最も近い場所にポジショニングしているブランドが有利となります。

ポジショニングとは、相対的であって、自分が動かなくても相手が動くことで自分のブランドエクイティーが動かされてしまうこと。自分のポジショニングを動かすことによって、全く動かない相手を消費者の頭の中で動かしてしまいます。

HOW(どう届けるか)

HOWは、WHATをWHOにどのように届けるのかという『仕掛け』のことです。

4P分析で考えていきます。

マーケティングミックス(4P)
  1. Product(製品)
  2. Price(価格)
  3. Place(流通)
  4. Promotion(プロモーション)

深く理解した消費者の視点からHOWを判断していきます。

USJが変えたのは、『消費者視点』という価値観を持つことだけ

USJが変えたのは消費者視点を持つという考え方です。

「どれだけの消費者価値につながるのか」という1点に尽きる。簡単に言えば、会社側のどんな事情もどんな善意も、消費者価値につながらないのであれば(消費者に伝わらないのであれば)、一切意味がない。そう腹をくくった意思決定をできる会社が Consumer Driven Company(消費者視点の会社)。

成功するマーケティング思考のベースとなるのは、消費者視点です。

マーケティングが消費者や市場が望んでいるものを分析し、何を作るべきかを洞察して決めることが何よりも重要となります。

消費者インサイトを知ることがブランド認識を大きく変える

消費者インサイトは、消費者の隠された真実のことです。

インサイトを衝かれることで消費者は自社ブランドのベネフィットを大幅に理解しやすくなったり、欲しくなったりなります。

インサイトの例(1)

(×)除菌ができるアリエール

(○)部屋干しの衣類からニオイがするのは衣服にたくさんの菌がいるから

インサイトの例(2)

(×)いつものクリスマス

(○)今年のクリスマスは貴重な1回なんだ

消費者インサイトの見つけ方についてはこちら

まとめ

この本を通して、学んだことは『消費者視点』を持つ大切さです。

消費者視点がなければ、売れる商品(サービス)が作れませんし、作ったとしてもどのように販売していくべきなのか戦略を練ることができないからです。

まずは消費者をみて何を求めているのかライフスタイルから分析をしていきたいです。