習近平国家主席は3日、同国の今後5年間の成長率は7%前後になるとの見通しを示したが、先行き不透明感も増していると指摘しました。
また、中国は2010年から20年までに国内総生産(GDP)と1人当たりの所得を2倍にする目標を設定。
現在の国内総生産を比較しても、中国の国内総生産は、アメリカに次いで世界2位。
今後も中国経済が持つ影響力は大きくなる中、2015年の末から本格的に始動するアジアインフラ投資銀行によって、東南アジアの状況も変わってくるだろうし、今後の中国を理解する上で、大切なポイントの1つです。
なぜなら、人民元を基軸通貨にするという目的のための、1つの手段であるから。
そこで、今回はアジアインフラ投資銀行についての理解を深め、今後の日本がとるべき行動について考えていきます。
アジアインフラ投資銀行(AIIB)とは何か?
そもそもアジアインフラ投資銀行(AIIB)とは何か?
アジアインフラ投資銀行は、中国主導の国レベルで資金を出し合い、企業や富裕層に債券を発行することで資金調達し、アジアの発展途上国に融資する銀行です。
話題になっている理由はすでに日本とアメリカ主導のアジア開発銀行があるにもかかわらず、中国がアジアの発展途上国に資金を貸し出す銀行を作ったから。
アジアインフラ投資銀行の設立の大きな目的は、アジアを中心としたインフラ整備や、インフラを通じた各国間の関係性をより強くして、経済的な発展を進めていくため。
中国を中心に、韓国、ASEANなどが参加します。
資本金は1000億ドルを超え、中国が最大の出資国となる見通し。
アジア開発銀行(ADB)があるのになぜ、アジアインフラ投資銀行を設立させたのか?
1966年に発足したアジア開発銀行(ADB)が存在する。
こちらの組織は、日本・アメリカが最大出資国となり、両国が主導で動いている。

では、なぜアジア開発銀行を設立したのか?
それは
- 新興国が経済発展を遂げることで、その国が経済的に豊かなり、結果として新しい市場を開拓することができるから
- 新興国でインフラ整備を整える上で、自国のサービス・プロダクトを売り込むことができるから
経済成長の続くアジアのインフラ整備に必要な資金は2020年までに8兆ドル(約960兆円)に上ると試算されている。
日本にしても、日本国内においては、十分なインフラは整備され、海外のマーケットに目を向けなければならない。
そういったことを踏まえても、対アジアへのインフラ建設という事業への取り組みは注力しなければならないでしょう。
中国の目的を考えるとアジアインフラ投資銀行の理解を深めることは重要
そういった既存の組織があるのにも関わらず、アジアインフラ投資銀行を設立する理由は何なのか?
それは
- アジア開発銀行では、賄いきれないほどの市場規模であること
- アジア開発銀行に対する不満の顕在化
- 中国の、『新シルクロード構想』と人民元を基軸通貨にするためのステップアップ
アジア開発銀行は、60カ国以上からなる組織です。
そのため、意思決定までに有する時間が長く、スピード感がない。それが、審査手続きの長期化に繋がっており、新興国間での不満となっています。
中国の最大の目的は、人民元を基軸通貨にするということ。
金融覇権を中国が握るという構図です。
その手段の1つとして『新シルクロード構想』があります。
これは、中国と東南アジ ア間の交通や通信のインフラを確立するものです。
交通では、高速道路や鉄道網、航空、海運といった、陸海空のあらゆる交通インフラを対象としています。
通信では光ファイバによる通信網の確立やそのインフラによる物流をスムーズに行うためのネットワークを対象としています。
つまり、中国主導で、東南アジアを中心にインフラを整備し、それが達成された時の影響力は大きいということです。
先日の、インドネシアへの高速鉄道案件に関して、中国案が採用されましたが、これによって中国のインフラ技術も上昇するだろうし、世界に対する中国の存在感は、ますます大きくなるでしょう。
これからも、アジアインフラ投資銀行の動向にアンテナを張ることの重要性と、世界に対する日本のあり方、リーダーシップを発揮しながら、存在感を大きくしていくことが大切です。