CRMを取り入れる目的は次の通りです。
今回は、CRMを実施していく中で、やずやのマーケティングである『CPM分析』をご紹介します。
目次
CRMが注目されている理由
最近、CRMの重要性が増してきました。CRMが注目されている理由は、下記の通りです。
- ITツールの技術力が上がり、1 to 1マーケティングが可能になったこと
- 顧客満足度を上げるために、1人1人にあう顧客コミュニケーションが重要になったということ
モノが溢れる中で、顧客を『ファン化』させるのは、顧客心理に合わせて、1人1人とコミュニケーションをする必要があるということですね。
それでは、なぜ1 to 1マーケティングが重要かというと
- LTVを最大化することができる
- EC売上はリピーターの売上で占めている
CRMをしっかりと実行すると、ユーザーは2回目の購入をしてくれます。
2回目の購入後のフォローをしっかりと実行すると、継続的に買ってくれるのです。
CRMがLTVを最大化させる
CRMを実施することで、LTVを最大化させることが可能です。
メカニズムは下記の通り。
図のように、2回目購入に購入者を誘導できなければ、LTVは伸びません。
逆を言うと、下記のポイントを押さえれば、LTVを最大化させることができます。
- F2転換率を上げる
- 平均購入回数を上げる
- 平均購入単価を上げる
その際に大切なポイントが3つあります。
- 新規顧客の入口に近いこと
- 人数が多いセグメントを見つけること
- LTV差が大きいこと
LTVが上がる=限界CPOが増えるので、広告戦略の自由が高くなります!
優良顧客(ロイヤリティ顧客)の重要性が高まっている
新規顧客の獲得も重要ですが、優良顧客(ロイヤリティ顧客)を積み上げることが重要です。
- 売上全体の80%が20%の優良顧客(ロイヤリティ顧客)から成り立っている
- 新規顧客の獲得が困難になってきている
- 限界CPOが増える
CRMとは優良顧客を増やして売上を上げること
CRMとは何かと言うと、Customer Relationship Managementの略です。
- 新規顧客を増やすよりも、既存顧客を守る
- リピーターを増やすための施策を行う
といったように、顧客とより良い関係構築する上で欠かせない考え方です。
CRM戦略によって、定期顧客を獲得し、LTVを最大化していきます。

CPA(CPO)が高騰化しているのでCRMは必須です
CRMが大切な理由は他にもあります。
それは何かと言うと、CPA(CPO)が高騰化しているので、新規顧客の獲得に限界があるということです。
新規顧客の獲得の流れ
- ターゲット選定
- ターゲットへの訴求内容を考える
- 広告などで露出(プロモーション)する
- ターゲットへ訴求
- 商品・サービスを購入
ざっくりと、上記のような流れでお客様は商品を購入してくれるでしょう。
ここで問題となるのが、広告出稿費用が高くなっているということです。
- 広告主側は『顕在層』を獲得したいから、刈り取り型の広告を使う
- みんな同じ考え方だから、広告単価が上昇
- 広告費用が高くなる
- 『顕在層』を獲得しきると、マーケット需要がなくなるからさらに広告が必要に、、、
上記の流れで1人当たりの新規顧客の獲得コストが上がっているのです。
新規顧客が獲得できても、初回購入時にコスト回収ができないから、リピーターになってもらって、コスト回収する必要があるため、CRMが大切ということになります。
リピーター創出に必要なCPM分析とは?
CRMをしていく中で、重要な考え方であるCPM分析についてまとめていきます。
CPM分析とは?

CPM分析とは、Customer Portofolio Managementの略で、『顧客ポートフォリオマネジメント理論』を指しています。
- 購買行動
- 経過日数
- 頻度
を基準に、顧客層をに分類して、その状態にあわせた顧客育成(ナーチャリング)施策を行っていくための指標のことです。
CPM分析はやずやが行うマーケティングです
CPM分析はというと、通販でも有名な企業であるやずやが実践しているマーケティング戦略です。
なんで、CPM分析が誕生したかというと
やずやの平成11年実績では、その時の社員数40名、売上高30億円でした。
CPM分析を取り入れた平成20年11月では、社員80名で売上高300億円(1名あたり40億円)を達成。社員数は2倍ですが、売上は10倍という成果を上げたのです。
これをきっかけにCPM分析は誕生しました。
パレートの法則:80%の売上は20%のお客様からなるということ
パレートの法則という考え方があります。
パレートの法則「組織全体の2割が大部分の利益をもたらしているが、それが取り除かれると残り8割のうちの2割が大部分の利益をもたらす」
ビジネスにも同じことが言えます。
売上の80%は全体の顧客の20%の『優良顧客』がもたらしている。
優良顧客に的を絞って、リピート創出・サービスの実施をした方が良いということです。
CPM分析のメリットはリピーターを増やせること
CPM分析のメリットは何かと言うと、リピーターを増やせるということです。
CPM分析によって、データベースに溜まっているお客様を「購買行動」「経過日数」「頻度」の軸で分類することができます。
つまり、『リピーター』『優良顧客』になる確率の高いお客様を可視化できるようになるのです。
その対象のお客様を作るのと、優良顧客にするためのコミュニケーション設計をすることで、リピーターを創り上げ、売上を上げることが最大のメリットです。
CPM分析とRFM分析との違いは?
売上をあげていくための分析として、2つ考え方があります。
- CPM分析
- RFM分析
それぞれ何が違うのでしょうか?
RFM分析とは?

RFM分析の目的は、『優良顧客』を明確にして、優良顧客にだけアプローチをして売上を上げていくことです。
RFM分析では、「Recently(最終購入び)」「Frequency(購入頻度)」「Monetary(購入金額)」の3つで顧客分類をし、顧客行動を分析していきます。
例えば、「最近購入した3回目のお客様で、購入金額がさほど高くない」層の顧客にはアップセルをしていく。
また「購入頻度も高く、金額も高額なのだが最終購買日が5ヶ月前」という場合は、ライバル企業に写って移ってしまって可能性が高いです。
ですので、再度来店頂くためのキャンペーンを打つなど、顧客層それぞれに「効果的な施策」の提供を実現するのがRFM分析です。
CPM分析とRFM分析との違いは?
CPM分析とRFM分析の違いは何かと言うと、中長期的な戦略を立てるかどうかという点です。
- CPM分析:中長期的な戦略を立てる
- RFM分析:短期的な戦略を立てる
最大の違いは、顧客分類をする中で「経過日数」を軸に分析するかどうか。
RFM分析では、購入頻度が高く、最近買ってくれたお客様を『優良顧客』として特定できますが、その対象顧客が「どのくらい前から買っているか」は分かりません。
CPM分析は、「離反客の引き戻し」「初回客の引き上げ」「上位客の離反防止」を目的としたLTVを最大化するための戦略を指します。
CPMを活用した顧客分析について
CPM分析の具体的な顧客分析方法についてまとめます。
まずは、顧客を10のグループに分類をします
まずは顧客を10のグループに分類していきます。

【現役客】
初回客 | 離脱期間が240日未満のお客様(初回客は在籍感を0日とする) |
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よちよち客 | 初回購入から90日未満の間に2回目を購入しなおかつ離脱期間が240日未満のお客様 |
流行客 | 在籍期間が90日以上210日未満であり、離脱期間が240日未満。なおかつLTVが7万円以上 |
コツコツ客 | 在籍期間が90日以上であり、離脱期間が240日未満。かつLTVが7万円未満 |
優良客 | 在籍期間が210日以上あり、離脱期間が240日未満。かつLTVが7万円以上 |
【休眠客】
初回客 | 初回購入日から240日以上、何も買っていない |
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よちよち客 | よちよち期間(90日未満)の最終購入日から240日以上、一度も買っていないお客様 |
流行客 | 流行客の期間(90日以上210日未満)の最終購入日から240日以上、1度も買っていないお客様 |
コツコツ客 | コツコツ期間(90日以上)の最終購入日から240日以上、一度も買っていないお客様 |
優良客 | 優良期間(210日以上)の最終購入日から240日以上、一度も買っていないお客様 |
顧客分類は、「購入回数」「購入金額」「在籍期間」「離脱期間」で分類する
顧客の分類は、以下の4つの条件でしていきましょう。
- コツコツ客と優良客を分ける金額は、1回あたりの客単価が1万円前後であると想定した場合の金額にする
- 7-8回購入していただくと優良客になると想定し、1回あたりの平均購買単価の約7倍で、切りの良い金額にするのが良い
バブルチャートで顧客状態を見える化する

バブルチャートにして、顧客グループごとに見える化する目的は、顧客状態ごとのLTVを見えるようにするためです。
毎月毎月、顧客状態ごとのLTVを定点観測して、優良顧客(ロイヤリティ顧客)の数が増えているのかどうかを見ていきましょう。
課題・問題を可視化するため、CPM分析で毎月定点観測する
CPM分析で毎月の顧客推移を見ていきます。
だいたい6-7ヶ月くらい続けてみると、お客様から見た自社の姿がどのように変化していったかが分かってきます。
離脱期間が長いほど戻ってくる確率は低くなるから、なるべく離脱期間が短いうちにフォローしていくことが大事なポイントです。
CPM分析をエクセルでするための方法は?
CPM分析をするために、どんな情報が必要なのかをまとめていきます。
CRMツールを活用することで管理可能ですが、エクセルで管理することができるので、そちらの方法をまとめます。
(カート)システムから顧客データを抜き出す
まずは、CPM分析をするために必要な顧客データをカートシステムから抜き出します。
顧客データは「購入回数」「購入金額」「在籍期間」「離脱期間」があればOK
必要な顧客データは、下記の項目です。
- 「購入回数」
- 「購入金額」
- 「在籍期間」
- 「離脱期間」
上記の4つの項目データをカートシステムから抜き出しましょう。
出力した顧客データをエクセルで集計する
- 「購入回数」
- 「購入金額」
- 「在籍期間」
- 「離脱期間」
上記のデータをグルーピングしていくわけですが、グルーピングの定義は、【10グループの顧客分類】で分けていきます。
顧客育成(ナーチャリング)のタイミングは顧客状態で決まる
10グループの顧客セグメントごとに施策を考えて、実行していきます。
顧客セグメントごとに、顧客状態・心理状態は異なるので、それに合わせて「クロスセル」「アップセル」をしていきます。
CPM分析によってどの顧客が引き上がりやすいのか分かります
CPM分析によって、どのお客様が次回商品を購入してくれるのかがわかる分かるようになります。
- 優良現役:20%、コツコツ現役:10%、よちよち現役:5%、初回現役:1%
- 優良離脱:10%、、コツコツ離脱:5%、よちよち離脱2.5%、初回離脱0.2%
現在も購入してくれているユーザーと他社へ流れてしまったユーザーを比べると、こんなにも反応率が違います。
1回買ったきりで購入していないお客様を戻すのはコストが掛かる上に、あまり効果的ではありません。
まずは1回購入→2回購入の壁を超えましょう。
まずは『初回客』は90日以内に『よちよち客』に引き上げる

初回現役客には、ルールとして90日の間に計10回のフォローを実施しましょう。
商品を一度買ったきりで離脱してしまったお客様や、2回か3回買っただけでそのまま離脱してしまったというお客様は、商品をたくさん買っていません。
ということは、商品のことをあまり知らない。
お客様は自分のお悩みを解決するべく商品・サービスを購入しているので、その効果の実感がされていないということです。
- 商品の正しい食べ方、飲み方のアドバイスをもっと丁寧に伝えていく
- この段階では、商品情報を伝えることによって「お客様を育てる」こと
『よちよち客』には、商品理解(知識)を発信する
『よちよち客』に属する顧客は、商品に関する知識が不足しています。
そのため、CRMの施策としては、商品理解(知識)を発信していきましょう。
『コツコツ客』には、会社への愛着を発信する

コツコツ客へのフォローは、会社情報を与えることがポイントです。
この層のお客様は、自社から何回も商品を買い、すでに商品やサービスのことを十分理解しているお客様。
それなのに離脱してしまうということは、その会社の考え方やスタッフの対応に何らかの不満があったとうことが考えれるので、それを防ぐための情報をきっちりと伝えましょう。
伝えるべきは、商品情報ではなく、会社情報です。
自社の目指す方向性や商品へのこだわり、生産者・スタッフの声や顔、工場の様子や安全性を高める取り組み状況、お客様への想いなど、会社のありのままの姿を真摯に伝えていくことが重要
https://growth-ideas.com/marketing-crm
まとめ
顧客心理ごとにコミュニケーション設計を考えることが大切ですが、「なぜ、今の結果になっているのか」を仮説立てながら分析をすることが大切だと考えています。

上の図は、月ごとの平均リピート回数を集計したグラフです。
それぞれの月で、どんな施策をしてどんな結果になったのか。

そして、どんな顧客が増えているのかをしっかりと踏まえた上でマーケティングができればと思います。