インドネシアの牛肉市場をめぐる外食・食品企業の動きが活発化しそうです。牛角などを運営するコロライドは、今後5年で現地店舗数を8倍に増やす計画を明らかにしています。
また、伊藤ハムはニュージーランドからハラル対応の牛肉製品を供給する。(参照:『インドネシア、牛肉人気に火。「牛角」など8倍 』)
宗教的な理由もあり、インドネシアではここ10年間で牛肉が2倍に増加している。
牛肉市場が拡大している要因は何なのかを考えるとともに、今後の動向についても考えていきたいと思います。
世界の食市場は2020年で680兆円規模へと成長
世界的な視点で見た時に、食市場の動向はどうなっているのか。
2009年における市場規模は、340兆円で会ったが、2020年にはその2倍の680兆円になる見通し。

さらに深堀りしていくと
2009年における、中国・インドを含むアジアの市場は、82兆円であった(全体の24%)。
それが、2020年には229兆円と2009年の市場規模の3倍に成長することが予想されている。
食市場が拡大している理由は『人口増』『中間層の増加』
市場規模が成長する理由は
「人口の増加と経済的な豊かさを手に入れた『中間層』の増加に伴う、需要の拡大」と予想。


中国のGDP推移は右肩上がりで、それと比例して1人あたりのGDPも増加傾向にある。
つまり、経済成長に伴い、裕福な生活を送れる人々が増えているということ。
中国では、資産などが5万ドル(600万円)〜50万ドル(6000万円)がある『中間層』が1億900万人。
2000年以降の成長を見たときに、アメリカの2倍のスピードで増加し、世界最大となっている。(参照:『中国の「中間層」が世界最大規模に、米に比べ成長2倍』)


また、インドも同様にGDPの増加に伴い、1人あたりのGDPが上昇している点は、中国の例を踏まえると、『中間層』が増加していることが言えるのではないだろうか。
そして、インドネシアのデータを見てみると


ものすごい勢いで経済成長していることが読み取れる。
それに伴い、中間層が増加していて、2012年時点では、総人口:2億5000万人のうちの30%にあたる7400万人が中間層として定義されていた。
毎年、新たに900万人ほどが中間層へと移行しており、2020年までには1億4000万人の中間層が誕生すると言われている(総人口の53%)。
インドネシア農業省によれば、昨年の牛肉消費量は前年比10%増の約65万4千トン。
10年で2倍近くに増えた。
1人当たり約2.6キログラムと日本の約6キログラムを下回るが、10年以内に4キログラム程度に増えるとの予測がある。
人口を考えれば日本市場を逆転する可能性が大きい。
コロワイドのしゃぶしゃぶ温野菜は、開店2週間で、1か月の目標を達成するほどの人気になっているという。
牛角や温野菜などの、全6店舗を、2016年内に14店舗に拡大し、2020年までに50店舗体制を整える計画。
また、コロライドの他に、日本の外食チェーンは、インドネシアの出店に力を入れる動きを見せています。
牛肉輸出は2020年には250億円規模に

2012年の牛肉の輸出金額は約51億円。2020年には250億円規模にまで拡大する計画。
牛肉輸出量の国別割合について

香港・アメリカ・シンガポールが高い印象。
アメリカは市場規模が大きいためであると思うが、香港・シンガポールが高い理由は何なのか。
香港とシンガポールに対する輸出では、関税がかからないことが大きのではないだろうか。
しかし、世界の市場規模:340兆円と比較すると、まだまだ伸びる余地を秘めているのではないかと思いました。

しかし、日本和牛の輸出価格と世界基準での価格を比べた時に、日本和牛は高価なものであると言える。
サーロインステーキなどの部位に焦点を当てると、さらに価格は跳ね上がる。
のざき牛は、4等級以上の最高級黒毛和牛を安定大量生産に挑んでいる。
このような取り組みによって、安定的に良質な和牛が海外に進出できるようになれば、世界的に中間層が増加した今、日本和牛を広めることは可能だと思いました。
また、日本和牛の認知度が高まった後には、和牛のコモディティ化が始まり、神戸牛などのブランド牛への需要が伸びてくるでしょう。
日本の食のブランド化というのは、クールジャパンとしても、鍵を握る存在だと思います。