ハロウィンなどの実体験や消費活動が『コト』『体験』へと移り変わっています。
消費活動のトレンドが変わる今、『コト消費』のニーズを取り込むためのマーケティング戦略ってどんなものがあるのかをまとめたいと思います。
目次
2018年のハロウィン市場は1,240億円規模に?!
2018年のハロウィン市場は1,240億円規模。今までの市場規模の成長をグラフにすると

参照:記念日本文化研究所
2011年の市場規模「560億円」と比較すると、2018年の市場規模は2.5倍にまで拡大しました。
ハロウィンに参加する理由はSNSにあった!
今では、訪日外国人からも日本の『ハロウィン』は認知度が高まっている。
じゃあ、なぜハロウィンに参加するのでしょうか?
理由は2つあります。
一番の大きな理由は、盛り上がっている雰囲気をSNS上に投稿できるからです。

それでは、ハロウィンに参加している若者に対して「何故、ハロウィンに参加するのか」参加目的を調査すると、「SNSに投稿するため」の割合も高いことが分かります。
- 雰囲気を体験したいという「コト」へのニーズの顕在化
- SNSの影響力の大きさ
以上の、2点が読み取れます。

じゃあ、その若者たちはどんなSNSを利用して、発信しているのか?
LINEとTwitterが多いことが分かります。
LINEでの投稿は
Twitterでの
- 不特定多数への情報発信が可能
- 内容を『広く』発信することができる
- 多くの人に見てもらいたい
という特徴があるかと思います。
ハロウィンに参加するために、どんなことをしているか調べてみるとこんな感じです。

- かぼちゃステッカー、ガーランド、オブジェなどで飾り付けした
- 仮装用や、ハロウィンに関する服・グッズを購入した
- 家族に仮装させた
- ハロウィンのフィルターを使って写真を撮った
じゃあ、どこでハロウィンを過ごしたかというと

つまり、非日常的なイベントであるハロウィンを、みんなで盛り上がりたいということなのです。
スマホ・SNSが登場したことで、日常生活の一部などを発信する文化が根付いています。
仮装などを楽しみ、非日常的な空間を生み出すハロウィンは、Instagramを中心としたSNS上に拡散したいものとなっています。
日本のSNS利用者は7000万人越え!
2019年の、SNS利用者は7,764万人まで増加。
2020年には8,000万人に届くほど利用者は増えると予測されています。

各ソーシャルメディアの基本データをまとめると

LINEはというと、コミュニケーションツールとして、確立されました。
若い層を中心に、ネット上に日常生活の一部を『シェア』することも抵抗がユーザーが増えました。
『シェア』という行動に至るまでには以下のステップが必要であると考えられます。
- 自分ゴト
- みんなゴト
まずは、対象となるモノを、先にやる人がいて、歓喜されて続けてやっていく(みんなゴト)というステップ。
そして、それを起こすためには、『共感』が必要であって、『共感』を起こすためには『共有』が必要。
SNSを通して、共有することでビッグウェーブが起き、ハロウィンという概念が浸透したと考えられます。
『シェア』に対する抵抗感は消え、『コト消費』への消費活動は増えていくでしょう。
『コト消費』が増加する理由とは?
何故、『コト消費』が増加しているのか。
それは
消費者側の消費ニーズが変わったことが一番大きな理由ではないでしょうか。
Googleトレンドで、『コト消費』を調べると

コト消費という言葉が、使われ始めたのが2010年あたりから。
それまでは、『モノ消費』でした。
つまり、
冷蔵庫が欲しいとか、車が欲しいとか
製品やサービスの持つ機能的価値にお金を払っていたんです。
国内消費が成熟化した点と、ライフスタイルの変化があって、「こういったことをしたい」「こうなりたい」という自己実現欲求を叶えるために消費するようになりました。
コトラーもマーケティング4.0として、提唱しています。
マーケティング4.0とは、顧客の自己実現欲に訴えかける手法です。
自己実現欲とは、顧客自身が持つ「本来的な自我を実現しよう」とする欲求のこと。
企業の製品・サービスの提供により、顧客に「自分の理想像」をイメージさせる手法となっています。
コト消費を取り込むマーケティング戦略って?
コト消費を取り込むためのマーケティング戦略とはどんなものがあるのでしょうか。
コト消費の前提条件として
- 自己実現ニーズを叶える
- そのための体験を用意してあげる
という2つのポイントが重要だと思います。
Appleは、iPhoneやMacBook Airなど数々の革新的な製品を開発して販売してきました。
表面上は高機能の製品を売っているかのように見えますが、
Appleの製品は、徹底的に余分な機能を削り、デザイン性が高いということ。
『イノベーティブ』であるが故に、Apple製品を持つことがステータスとなって、それがAppleの価値なのです。
ポッキー&プリッツの日でツイートキャンペーンを実施
グリコは、11月11日の「ポッキー&プリッツの日」に「ポッキー」とつぶやき、世界記録をつくるというキャンペーンを実施しました。

結果、371万ツイートを獲得し、世界記録をつくりあげました。

ここで学ぶべきポイントは
- 共創することで、ユーザーとの間で口コミをつくる
- 時間制限を設けて、『今』やるべき理由をつくってあげる
ということです。
『ひげストロー』で150万インプレッションを獲得

アメリカのセブンイレブンで販売している「スラーピー」という飲み物なのですが、スラーピーを購入すると、ひげの付いたストローが付いてくるというもの。
このストローで写真を撮ることが、フォトジェニックであって、SNS上で拡散され
150万インプレッションを達成しました。
フォトジェニック性が高い要素を製品・サービス自体に組み込む重要性を教えてくれます。
最近はというと
Instagramを活用したマーケティング戦略が多いという印象です。
インスタグラマーをキャスティングしたプロモーションであったり、ハッシュタグを活用した投稿を促すキャンペーンでクロスメディアを活用したりなど。
広告っぽくなく、日常に溶け込んでいるという点がユーザーエンゲージメントを高めているのでしょう。
日本のハロウィン市場は減少傾向にある?!
ただ、日本のハロウィン市場はデータから考えると減少傾向です。

2015年のハロウィン市場は1200億円規模でしたが、当時は、2017年のハロウィン市場はさらに拡大し、1500億円規模になるのではないかと予測されていた
しかし、2017年の実際の市場規模はというと、1,305億円。
2018年は1,240億円と前年比5%の減少でした。
なぜ、ハロウィンの市場規模が減少しているのか?
では、なぜハロウィンの市場規模が下がっているのでしょうか?
市場規模を売上の総額と定義すると
売上=顧客数×(購入)単価
上記で考えていきます。
ハロウィンの参加人数はどうなっているのか?
ハロウィンにまつわるサービスを購入する人を割り出す参考として、ハロウィン参加者を考えます。
特に、有名な「渋谷ハロウィンの参加者」で考えますね。
渋谷のハロウィンに参加している人数推移はというと
2011-2012年 | 約10万人 |
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2013-2014年 | 30-50万人 |
2015年 | 70-80万人 |
2016年 | 100万人 |
2017年 | 100万人以上 |
参加者は上記のように推移しています。
参加人数は過去最高なのに、市場規模が上がらないのでサービスを利用する人が増えていないのか、サービス利用金額が上がらないのかだと思います。
ハロウィンにまつわるサービスと市場規模の増減に起因するポイントごとに考えてみます。
プレゼント | ハロウィンの場合は菓子類。クリスマスなどは比較的効果の商品を購入する傾向があるので、ここは頭打ちになりそうです。 |
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食事 | ハロウィンでは特に食事ニーズはないでしょう。 |
衣装 | 衣装は着回すか、毎年拘った衣装を作成して着るか。 |
一番市場規模の増減に起因するポイントは、衣装だと思います。
ライトに楽しみたい人であまり衣装にお金をかけない(バラエティーショップで購入)、着回す人が一定以上いるのであれば、頭打ちになる可能性は大ですね。