日本でも様々なサブスクリプション(サブスク)サービスが登場してきました。
佐川さん著の「サブスクリプション実践ガイド」という本があったので、まとめたいと思います。
サブスクリプションビジネスとは?
よく「サブスクリプション」「サブスク」と聞きますが、どんなサービスなのかをまとめます。
サブスクリプション(サブスク)とは?
サブスクリプション(サブスク)とは、毎月一定額の料金を支払うことで、毎月商品を手に入れたり、サービスを継続的に利用したりすることができます。
多種多様の消費者の気持ちを最大限に汲み取り、悩みや課題を解決する手段として、非常に優れたビジネスモデルです。
- 商品・サービスを出来るだけ安価に手に入れたい
- 商品・サービスを毎回購入するのが面倒
- 商品を受け取るのが面倒
- 商品・サービスを選ぶのが大変
- 商品・サービスを使ってなるべき自分を実現したい
なぜ、サブスクリプション(サブスク)が重要なのか?
上記で述べたように消費者の様々な課題をサブスクリプション(サブスク)サービスが解決してくれるという点が1つメリットとして挙げられます。
また、サブスクリプション(サブスク)サービスを導入することで得られるメリットがあります。
それは、安定的な売上を挙げられ(ストック型ビジネス)、収益構造が改善するということです。
『フロー型ビジネス』と『ストック型ビジネス』の違いは?
『フロー型ビジネス』と『ストック型ビジネス』の違いは何なのでしょうか?
- 売上・収益を上げ続けていくモデル
- 労働集約型
- 先の売上見通しがつきづらい
- 単月の売上が「新規売上」「既存売上」から成る
- 毎月一定の安定した収益を確保することができる
- 先の見通しが立ちやすく、売上予測、材料の発注予測が立てやすい
フロー型ビジネスでは、単月でドカンと売上が上がっても、来月はまたその売上を上げるためのアウトプットをしなければなりません。
一方で、ストック型ビジネスでは「顧客数」「1人当たりの顧客単価」「継続期間(残存率)」の3つの要素で売上の予測ができ、かつ安定的な収益を生むことが可能。
それによって、リソースを投資へ回すことでができるようになり、事業成長も加速化することができます。
日本におけるサブスクは動画配信、音楽配信が中心
日本ではどんなサブスクリプションサービスがあるのかというと
日本のサブスク
- 定期コース
- 動画配信
- 音楽配信
- 書籍
- ゲーム
- レンタルサービス
などがあるかと思います。
その中でも日本で浸透しているサービスは、「動画配信」「音楽配信」サービスではないでしょうか。
ただ、「月額〇〇円でコーヒー飲み放題」などのサブスクリプションサービスが日本でも登場してきています。
様々な業界でもサブスクリプション(サブスク)が浸透するのは時間の問題でしょう。
サブスクリプションのメリットは?
サブスクリプションをするメリットは、こちらです。
- 商品・サービスが比較的安価に手に入れることができる
- 注文の手間が省ける
- 悩み・課題が解決される
- 安定的な売上・収益を手に入れることができる
- 先の売上予測が可能になる
- 事業投資ができるようになる
サブスクリプションのデメリットは?
続いて、サブスクリプションのデメリットは何かをまとめたいと思います。
- サービスの中に使わないものがある可能性がある
- 使わなくても料金は発生する
- 買い切りサービスではないため、費用がかさむ可能性がある
- サービスを作るのにリソースが必要
- 商品のコモディティ化が起きる可能性が高い
- 会員管理などの仕組みを考える必要がある
「月額〇〇円でコーヒー飲み放題」だけのサービスだとどこの店舗でも提供できるサービスです。つまり、差別化ポイントがなくなって、商品・サービスがコモディティ化します。
お客様がどんな課題を抱えていて、その課題を解決するサービスはどんなものなのかを徹底的に考えて、サービス開発する必要があります。
サブスクリプション4つのモデル
サブスクリプションサービスの4つのモデルを紹介します。
サブスク4つのビジネスモデル
- 定期購入モデル
- 頒布会モデル
- 会員制モデル
- レコメンドモデル
定期購入モデル
定期購入モデルは、毎月一定額の料金を支払っている会員に対して、特定の商品・
サービスを販売するモデルをさします。
- サプリメント
- 基礎化粧品
- 食品
- 飲料
- 雑誌
よくサプリメントなどでは、「定期コース」などを設けて、販売しています。
定期購入モデルによって、安定的な売り上げにつながる他、在庫管理などもしやすくなる効果があります。
頒布会モデル
頒布会モデルは、事業者側があらかじめコース設定を行い、毎月一定額の料金を支払う会員に対して、毎回異なる商品・サービスを販売するビジネスモデルです。
- 食品
- 飲料
- 化粧品
- 雑貨
頒布会には、お客様に新しい商品・サービスと出会う機会を創出する効果があります。
「どれを選んで良いのかわからない」というニーズを汲み取り、新しい可能性を広げてくれるのです。
フランスのMy Little BoxやRAXY(楽天)、BLOOM BOXなど毎月詰め合わせなどが届くサービスは、店舗に向かい購入しなくても商品・サービスを試すことができるサービスの1つですね。
また、オイシックス・ラ・大地さんが提供し知恵る「おいしっくすくらぶ」は、会員になると毎月野菜を届けるサービスで、頒布会と定期購入をうまく組み合わせたサービスです。
会員制モデル
会員制モデルは、サービスやコンテンツを利用する権利を貸与するビジネスモデル。
昔から、ジムやフィットネス、習い事などこの類のビジネスはたくさんありました。
けど、最近で「動画配信」「音楽配信」などのいわゆるSaas型と呼ばれるデジタルコンテンツなども増えています。
- ソフトウェア
- デジタルコンテンツ
- レンタル
- 実店舗(飲食店、ジムなど)
レコメンドモデル
最後に、レコメンドモデルは顧客1人1人の嗜好や状況に合わせて、専門家が商品やサービスを提案(レコメンド)したり、提供したりするビジネスモデルをさします。
ちょっと前から「air Closet」という月額制でスタイリストさんが選んだ洋服が毎月届く、ファッションサービスがあります。
従来のサブスクリプションサービスですと、顧客1人1人のニーズに細かく対応することが難しかったです。
しかし、このレコメンドモデルについてはお客様の嗜好や状態など通して、サービス提供できるモデルなので、より顧客満足が望めるモデルとなっています。
- ファッション
- 食品
- 雑貨
- デジタルコンテツ
サブスクリプションで儲かる仕組みの5つのポイント
儲かるサブスクリプションサービスを作るためのポイントは5つです。
- STEP1事業設計
- STEP2商品設計
- STEP3販売戦略
- STEP4会員管理設計、リピート施策設計
- STEP5定点観測と改善
顧客にとっての価値を考えましょう
サブスクリプションサービスを考えていく前に、まずは「どんなお客様の課題(ニーズ)を解決していきたいのか」をしっかりと明確にしていきましょう。
なぜかというと、お客様のニーズが不明確であると、提供するべきサービスの「仕様」「内容」「価格」が決まりません。
まずは、お客様にとっての価値は何なのかを考えることが大切です。
O(お得)N(悩み解決)B(便利)を満たしましょう
顧客にとっての価値を最大化する中でONBを踏まえた商品・サービスを作りましょう。
- O:お得
- N:悩み解決
- B:便利
O:お得
お客様にとって、「お得」というのは普遍的な魅力です。
都度購入するよりも、定期購入した方がお得!と思ってもらえるモデルを作りましょう。
まずは、どんなお客様に利用してもらいたいのかを明確にすることが重要となります。
N:悩み解決
対象とする悩みは、深刻なものでなくても構いません。
日常生活の中で、ふと「面倒くさいな」「どうしてこんなことしなきゃいけないんだろう」と思うことが、誰にでもきっとあるはずです。
長時間並ばないと、好きなラーメンが食べられない
→会員になると、並ばずに毎月何杯でもラーメンが食べられるサービス
B:便利
など、ちょっとした利便性を追求することはもちろん、自分の好みを完璧に把握してくれたり、自分の想像を上回るような良い提案をしてくれるなどの期待以上の便利さを提供してくれるのも、顧客にとっては重要なことです。
STEP1:事業設計
商品やサービス開発の鉄則は、自社の強みや弱みを見極め、市場動向や社会環境、顧客にーずを調査した上でターゲット設定をしていきます。
大切なのは、あなたの会社にとって「大切なお客様」とは、どんなお客様なのかを考えること。顧客ニーズを理解するには、アンケートやモニター調査が定番の手法です。
思考チェックリスト
- あなたは、商品・サービスをどうやって知りましたか
- 商品・サービスを購入したのは何度目ですか
- 商品・サービスを購入した理由は
- 商品・サービスを購入して嬉しかったことは何ですか
- 商品・サービスで気に入っている点は何ですか
- 商品・サービスで気に入らない点は何ですか
- 商品・サービスがどう改善すれば、もっと購入したいですか
- 商品・サービスを勧めるとしたら、どんな人に勧めますか
お客様の声を聞き、真摯に受け止めて、サービス開発するのがポイントです。
STEP2:商品設計
モノ消費からコト消費へと顧客にーずが移行するにつれて、商品やサービスには、ストーリー性や代替できないような体験、原材料や製法の希少性など、付加価値が求められるようになってきました。
他の商品・サービスにはないUSP(Unique Selling Proposition)を踏まえた商品・サービスを作ること。
VIP顧客をイメージした上で、彼らがどんな商品やサービスに価値を感じるのか。それを逆算して、どんな商材が適切なのかを考えます。
STEP3:販売戦略
続いて、サブスクリプションサービスの販売戦略を練っていきます。
ここで意識したいポイントは、6つです。
- 販売価格
- 原価(原価率)
- LTV(Life Time Value)
- 固定費
- 変動費
- 広告費
LTVとは、Life Time Valueの略称で、顧客生涯価値を表します。1人あたりの累計購入金額と思って頂ければ分かりやすいでしょう。
あえて、広告費を変動費に入れず分けました。
理由としては、「売上(LTV含む)ー(原価+固定費+変動費)」をなるべく広告費用として活用したいからです。
いくら商品が良くてもプロモーションして、商品の認知形成をしなければ売れません。
そのために、「単月で〇〇人の新規顧客を獲得する上でどのくらいの広告費用が必要なのか」をしっかりと考えましょう。
STEP4:会員管理設計、リピート施策設計
サブスクリプション顧客は、企業や店舗にとってリピートを確約し、継続的に支払うことを約束してくれている特別なお客様です。
そんな方々をVIP顧客としておもてなしするために必要な仕組みを整備することが重要です。
「今月は誕生日ですね!おめでとうございます。〇〇様には特別に△△をご提供します」などの顧客関係構築の設計を考えましょう。
STEP5:定点観測と改善
STEP1〜STEP4のプランニングによって、運用に必要なポイントを抑えることができます。
サブスクリプションサービスを成功に導くためには、既存顧客と継続的な関係を構築しながら、新規顧客の獲得をしていきます。
そこで、STEP1〜STEP4を定期的に数値分析をしていきます。
- 反応率(CVR)
- 引き上げ率(F2転換率)
- 継続率(残存率)
- 解約率
上記の数値を意識して分析しながら、損益分岐点を見ていきましょう。
売上は、「顧客数」「1人当たりの顧客単価」「継続期間(回数)」で計算可能です。
売上とコストを踏まえて、上記の「分析の指標」を定点観測し、どう改善するべきなのかを考えていきましょう。
まとめ
サブスクリプション(サブスク)というキーワードが浸透してきている中で、「どうすれば事業が成功するのか」気になっていましたが、この本でビジネスモデルを構築する上で、本質的、かつ基本を押さえることができました。
やはり、「顧客視点」とビジネスを運用していく上での「分析」。この2つが重要であることを学びました。